keikoさんの作品


母娘 残菊物語 9



教室の後ろで両足を机の天板の上に放り出して、
女教師とクラスの者たちのやり取りをながめている亜紀は、タバコを取り出して口にくわえた。
理恵がすぐにライターで火をつける。
西川詩織は、本田亜紀が手がけた奴隷第2号である。
奴隷1号は、同級生の少女であった。
しかしその少女は、奴隷として完成させる前に自らの命を絶ってしまった。
ビルの屋上から飛び降りたのだ。
遺言のメッセージを飛び降りたビルの屋上に靴とともに残していた。
その遺言の中に亜紀からいじめられたことを匂わすことが記されていた。
しかしその遺言は明るみに出ることはなかった。警察が握りつぶしたのだ。
亜紀の父親は暴力団の組長としてこの町の裏社会では絶大の力を誇り、警察幹部にも誘惑の手を伸ばし、
抱き込んでいた。その少女の死は、精神疾患によるものとされ、事実は闇に葬り去られた。
 西川詩織は、その少女がなくなった後に、亜紀の指示で組員たちによって陵辱され、
恥ずかしい写真を撮影された。裕子の場合と同じ経過を経て、女奴隷となっていた。
いや、裕子にとっては奴隷の先輩であり、裕子の近い将来の姿なのだ。
 亜紀は思っている。奴隷調教を受ける女性には、大きく分けると二通りのタイプがある。
自分が奴隷調教してきた経験からも、本田組が闇社会に提供している女奴隷の調教現場を見ても、
そうなのだ。ひとつは、自分の置かれた現状を受け入れられず、最後まで抵抗してしまうタイプだ。
やがて、希望を失い、絶望感から心が壊れ、破滅へと向かっていく。奴隷1号の少女がそうであった。
調教を拒み続け、泣き叫ぶだけであった。
そして自殺を選んでしまった。
これではせっかく時間を割いて調教をしても、奴隷へと変化していく過程を楽しむことはできない。
これは奴隷としては失格である。
 そしてもう一方のタイプは、自分の心を壊さないために、自己防衛本能が働き、
恥辱の行為を少しずつ受け入れていくタイプだ。
そのために、羞恥心や屈辱から受けるストレスを被虐の悦楽へと昇華させていく。
自分の精神構造をマゾ化していくのだ。
そのマゾ化を助長するために、恥辱の行為を受け入れる理由を本人に与えてやる。
西川詩織の場合は、夫であり教え子であった。
亜紀は、自分の奴隷にならなければ、かわりに夫が組員の手で暴行されるかもと脅した。
そして、クラスの少女を選んで同じ目にあわせてやるとも脅かした。
恥ずかしい写真を撮られ、それを世間に公開すると脅かされ、
さらに、詩織が言うことを聞かなければ被害者が増えることになると脅迫したのだ。
詩織に、妻として夫を守るために、教師として生徒を守るために
自分が犠牲になっているという意識を常にもたせてきた。
そして詩織は、大切な人を守るためという意識から精神異常をきたすことなく、
見事に自分の中に眠らせていたマゾ性を開花させていった。
 一方、裕子の場合は、母子家庭という家庭環境を利用することにした。
母親も輪姦させると脅してやったのだ。
母親を守りたければ、言いなりになるしかないと裕子の胸に刻み込んでやった。
裕子の母は、元女優の美しい女性だ。
年の離れた男性俳優と恋愛関係になり、裕子を授かった。
不倫であった。妊娠した裕子の母、川上志乃は女優として人気絶頂期に引退し、
私生児の裕子を出産した。
男性俳優は、自分の家庭に戻っていった。
裕子を認知こそしたが、養育費を支払うだけで、父親としての存在を拒んだ。
端正な顔立ちの男性だったが、それだけの男であったのだ。
それ以来、母娘の二人でひっそりと暮らしている。
裕子は、大切に育ててくれた母が好きだった。
美しい母が自慢であった。
その母親を自分と同じ目に合わせることは絶対にできない。
裕子は亜紀のはった蜘蛛の糸にからめとられたのだ。


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