黒い森さんの作品

復讐 一章 2



 それから数日後、良江は香川に呼び出された。
「なんでしょう、社長。」
良江は笑顔で香川を見たが、彼は浮かない顔をしていた。
「ああ、良江さん・・。実は・・申し訳ないんだが・・この前の店長の話、もう少しだけ待ってほしいんだ。」
「えっ・・?」
「僕の叔父の事は知っているだろう?彼が自分の娘をぜひ2号店の店長にしてやってくれと言って来たんだ。」
「そんな・・!」
香川の叔父は資産家で彼の事業の一番の出資者だった。
だからいろいろと口出しされるのは仕方ないだろう。
だが大事な2号店の店長にいきなり他から来る人を採用するなんて・・。
普段の冷静な香川の判断とは思えなかった。
「それで・・その娘さんと言うのはどんな方なんですか?」
「これが経歴書だよ。」
受け取った資料を見て良江は愕然となった。
名前は九条由梨子。スタンフォード大学にて経営学を修める。
年齢は今年24歳・・。良江よりも5歳も若い。
「有名な大学を出ておられますが・・仕事のご経験は全く無い方なんですか?」
良江は忌々しい思いをできるだけ隠して聞いた。
「そうなんだ。」
「そんな・・そんな方にいきなり店長なんて・・。」
「君が怒るのも無理無いよ。でも形だけでもやらさないと、叔父も納得しなくってさ。
君が副店長として看てやってくれないかな?どうせ無理だろうから1ヶ月くらいで辞めてもらうようにするから・・。」
「はあ・・。」
良江は不愉快だった。せっかく目の前にあった店長の座が消えてしまったのだ。
しかも自分より年下の仕事経験も無い女が・・。
良江は1ヶ月という香川の言葉を信じるしかなかった。
「社長はこの九条さんという方をご存知なんですか?」
「ああ、だがもう十年も会ってないんだ。もうすぐここへ来るはずだよ。」
「そうなんですか!」
(一体どんな女なのかしら?)
二人が話していると、ドアがノックされた。


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