S・Pさんの作品
再会 その5(仮)
この小説はえりさんの再開をS.Pさんがリレー小説として引きついた作品です。
院から出て、何年かの月日が流れた。
真っ当に生きて行く事を誓った俺は、大検の単位を取得し、晴れて大学生となっていた。
贖罪の日々の中、無味無臭の退屈な毎日が続く。
が、それも悪くはない。
人を殺めた俺には相応しい生き方だと、自身に言い聞かせる毎日だ。そう。あの日までは・・・
贖罪の日々を過ごす俺は、ある日、もっと過去に向き合おうと、懐かしいこの街に戻っていた。
あれから何年経ったのだろう?何一つ変わらぬ街の風景。
何気に立ち寄ったスーパーで昼食の惣菜を物色しながら、ふと顔を上げると、
反射したガラスに過去が映っていた。
虫2号?真逆な。辺りを見回してみたが、そこに過去は無かった。
只、買い物客が行き来するだけである。
胃袋を満たすだけの簡素な食事を済ませ、煙草を吹かす。
懐かしい過去が蘇る。充実こそ無いものの、楽しかったあの日々。
眼の前の机の隅に丸められた紙屑。何気に開いてみると、そこには、携帯の番号が書いてあった。
馬場か・・・。一瞬の躊躇いの後、俺は意を決し、その番号にコールする。程無く電話が繋がる。
「誰だ?」
携帯の持ち主が訝しがる様に短く答える。
「馬場さんの携帯ではないでしょうか?」
かけた携帯の持ち主に確認をとってみる。
「その声は、ユウか?久しぶりじゃねぇかよぅ。元気してたかぁ?何だよ馬場さんだなんてぇ、
他人行儀じゃねえかぁ。懐かしいなぁ。今、何してる?」
彼独特の喋りが矢継ぎ早に続く。
「悪い。番号が変わっていたら嫌だなと思って確認したんだ。近いうちに話せないかな?」
「今夜、空いてるなら家に来なよぅ。募る話しもあるからよぅ。」
約束のを取り付けると、俺は夜が来るのを待った。