S・Pさんの作品
再会 その7(仮)
この小説はえりさんの再開をS.Pさんがリレー小説として引きついた作品です。
筒井宅のチャイムを鳴らす。反応が無い。
幾度か繰り返すが、やはり反応は無かった。
空振りに終わったようだ。諦めて帰ろうとすると、近所の人であろう老婆が話しかけてきた。
「こちらのお宅に、何か御用で?」
俺は咄嗟に答えた。
「筒井君の友人で、近くに来ましたもので、線香でも上げようと思ったのですが、
どうやらお留守のようですね。また出直そうかと思います。」
すると老婆は答えた。
「そう。ここの奥さんなら、最近見かけないわよ。
息子さんがあんな事になって以来、外出も減ったみたいだけど、最近は特に見掛けないわねぇ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
俺は、逃げる様にその場を後にした。
帰宅途中バスの車窓から外を眺めていると、再び俺の前に再び過去が映った。
虫2号?ア慌てて俺はバスを降り、虫2号のえりを捜した。
話しかけて過去を謝罪すべきか迷った。
迷いながらも、後を着けた。
するとえりは、アパートの一室に入っていった。
表札で確かめ、ここがえりの家であることが分かった。
チャイムを鳴らす事が出来なかった。
俺はそそくさとその場を後にした。
数日後、またえりのアパートの近くに来ていた。
が、また帰る。
そんな事を何回か繰り返していたある雨の日、偶然再びえりと出会った。
数年ぶりの再会で、二人とも動けなかった。沈黙の時が流れる。