虐め小説『あの子』第五回
三日ほどして、あの子は二日間、学校を休みました。
そして登校してきたあの子の顔を見て、私は息を呑みました。
眼帯でも隠し切れぬ青あざが、顔の左側を覆っていたのです。
誰がどんなことをしたのかは、誰の目にも明らかでした。
「逆らったらしいよ」とまた例のお喋りです。
この子は虐めグループの中に友達がいて、どんな虐めがやられているか、
すぐに知ることが出来たのです。
「逆らった?」
「そうよ、生理だから許してくれって、どうしてもパンツを脱がなかったんだって」
私は胸がキュンとなりました。あれほどの辱めを受けていながら、
それでも何かを守り抜こうとする、あの子の精神的な強さと気高さに打たれたのでした。
「それでね、逆上したコらに殴る蹴るされたんだって。体中アザだらけのはずよ」
私はあの子の気高さへの感動と、そして虐めグループへの怒りに震えました。
アザをつけるなんて、こんなのは虐めじゃない、と思ったのです。
本当の虐めとは、心を虐めることじゃないの? あの子の美しい顔と体はそのままに、
信じがたいほどの屈辱を与え、気高い心を屈服させるのが虐めじゃないの?
気に入らないから殴る蹴るなんて、そんなの男の暴力と変わりない……。
やっぱり底辺校の虐めグループの連中なんて、そんなものなんだ……。
私は失望し、そして決心したのです。
あの子をしっかりと虐めよう。
それも私のやり方で、徹底的に。
虐めグループにはその手足になってもらう、と。
私はまたパソコンに向かいました。
『舞台装置:蝋燭、まち針。
蝋燭だけの明かりになった部屋で、犠牲者は、全裸で、両手を頭の上に上げた形で
直立させられる。
教科書を持った別の子が、その日の授業の内容を犠牲者に質問する。
当たればよし、外れたらサイコロが振られる。
その出た目の秒数だけ、針の先が蝋燭であぶられる。一なら一秒、六なら六秒。
針の先は、犠牲者のワキにそっと当てられる。
このとき、もし声をだしたり泣いたりしたら、次に針が当てられるのは、乳首の周り。
声をだしたりして乳首の周りに10回当てられたら、次は乳首の先。
乳首の先に当てられるのが10回になったら、次はクリトリスの周り。
クリトリスの周り10回の次はクリトリスの先。
この儀式は毎回0からはじまり、前回の数は持ち越さない。
つまり、毎日ワキから始まる。
犠牲者にはきちんとこの規則を読んで聞かせること。
この規則は絶対であり、誰も破ることは出来ない』
私は書きながら、自分がこの犠牲者になった気分になって興奮し、そしてどうして
いいかわからずに胸を触ったのでした。
乳首が堅くなっていました。
そして、感じたのです。これが感じるってことなのか……。
私は胸を、激しく揉んでみました。
生まれて初めて、快感というものを知ったのでした。
もしかしたら、これがオナニーというものなのか……。
胸でこれだけいい気分になれるのならと、私は下の下着にそっと手を入れ、
でもヘアに触れただけで戻してしまいました。
実は、文章には書いたくせに、私はクリトリスがどこにあり、どんなものか
さえ知らなかったのです。
それに、こういう変態じみた妄想でオナニーするなんて、やってしまうと、
もう後戻りがきかないような気がして、死ぬほどに恐ろしかった。
パソコンに書いたこの針責めも、保存せずに消してしまいました。(続く?)
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