連載小説『MOMO' Passion』第十五回
半年が経ち、生理が来なかった。
妊娠した。
待ち望んだ妊娠に、主人は大喜びだ。
けれど私の気持ちは複雑だった。
子どものことを思えば、虐めの快楽は諦めなければならないだろう。
それに今降りると言えば、あのビデオを公開されるかも知れない。
私はメールで千里に相談した。
絶対に聡美には知られてはならない、と千里は書いてきた。
「キーコがあれだけ狂ったのは、前に聡美に男の客を取らされて、
妊娠させられたからです。
聡美は大丈夫だからと言って、キーコにハンガーを突っ込んで中絶しました。
ハンガーの先が突き刺さった胎児を鼻先に突きつけられて、
キーコはおかしくなったのです。
キーコはそれからクスリをはじめたのです」
あまりの恐怖に、後悔さえ出来なかった。
逃げることも、留まることも出来ない。
ただ、縁を切るしかない。どこか遠くへ逃げるしか。
でも、この快楽を捨てられるのか?
3人並べられての浣腸責め、鞭打ち、乳首への焼き針当て……
すべてを捨てることが出来るのか。
安全な中絶をしてしまったほうがいいのかもしれない。
少なくともハンガーで堕ろされるよりはましだ。
と葛藤に悩まされているうち、もう堕ろせない時期になっていた。(続く)
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