山女さんの作品


連載小説『MOMO' Passion』第三回 


「気取ってるのが悪いのよ」
 ミチらの言い分だった。
「ちょっとカワイイと思って」
 そんなことがここまでの苦痛と屈辱を与えられる理由になるのだろうか。
 男子も女子も遠巻きに見ている中で濡れたスカートのまま、床を、ハンカチと
体操着で拭いている自分、その自分を肉体から遊離した魂のように眺めている
自分がいて、いったい自分の何が悪かったのだろうかと考えているのだった。
 私は何も悪くない。
 悪いのはミチやみんなだ。
 私が地獄に落ちる理由はない。
 私はこの地獄高校を中退した。
 一年留年し、隣町のお嬢様高校へ編入した。
 何もない平安な日々が訪れ、私の傷も癒え始めた。
 はずだったのに……。
 ミチたちは最悪の形で私の心に傷を残していた。
 Passion……女の子に、虐められたい。
 あの地獄がなぜ、天国に思えるのだろう。
ギョウ虫検査の日、私のあの透明なシートを広げて黒板のすみに張り出され、授業中、
先生が気づくのではないかと気が気ではなく、胸がつぶれそうだったあの日。
死ぬほどの不安が、今思い起こせばなぜこれほど甘美なのだろう。
 あれからもう10年が過ぎ、恋人も出来、結婚し、何の不安もない暮らしの中で、
どうしようもないPassionに苛まれ、私は、本当の私を捜しに、ネットの中へと
旅だったのだった。(続く)…

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