黄金の月日(第六回)
6
学校には行けなくなった。
一週間休んで夏休みがきた。
そして家に、メグミがやってきたのだった。
お見舞いなどと称して。お母さんはバカだから、本気で喜んでる。
「ねえ、一週間くらい、うちにお泊まりしない? 気分も変わるよ」
などと、お母さんの前で、明るい顔で言っている。
何が起こっても、もう慣れっこな気がして、私はメグミと一緒に家を出た。
一週間分の着替えを持って。
連れて行かれたのは、退学になった3年生の一人の家の別荘だった。
あの3年生は私たちを出迎え、まずは私を、そしてメグミを、平手打ちした。
「来な」
広いリビングにはあの3年生たちが待っていた。退学になった一人もいた。
「ここは一軒家だからね、不用心だろ。だから犬を飼うことにしたんだ。二匹」
三年生はゲラゲラと笑った。
おい犬! と退学になった女が叫ぶと、メグミは直立した。
顔は怯えきっていた。
「犬が服を着てるのはおかしいなぁ」
メグミはなりふり構わず服を脱ぎ捨てた。
最後にパンティを脱いで、制服の下にそっと隠した。
「なんだよ、それ。犬がパンティを隠すのかよ」
三年の一人はメグミのパンティを取り出すと、庭に向かって放り投げ、
「とってこーい、ほら」
メグミはブルブルと震えながら、四つんばいになり、庭に出た。
そしてパンティをくわえて戻ってくるのだった。
そしてまた、
「とってこーい」
これが4回も繰り返され、そしてついに、
「もう一匹の犬がまだ服を着てるナァ」
そう、退学になった3年が言ったのだった。
「服なんか、犬には必要ないよな」
私はどうしていいかわからず、立ちつくしていた。
3年たちは私を取り囲み、ひとりがカッターナイフを突きつけた。
「大人しく脱げばいいけど、暴れたりしたら、怪我するよ」
もう何を言っても無駄だと思った。
怒らせてひどいことをされるより、大人しく従った方がマシだろう。
「犬は胸を隠すなよ」
「それに、二本足では立たないだろ」
「そうだよ、そうして窓の方を向け」
「あ〜こいつ、肛門にペーパーつけてるじゃん」
「どれどれ、見せて」
「いや〜何これ」
「おい、すぼめるなよ、見えねえじゃんかよ」
「隠そうとしてるのかよ、こら、広げろよ」
「肛門を広げろって言ってるだろ」
「そうそう、そうだよ、最初から素直にそうすりゃいいんだよ」
不思議と涙も出てこなかった。
堅いものがお尻に触れ、そして割り箸の先につままれたペーパーを
鼻先に突きつけられても、私は泣かなかった。
「とりあえず、檻に入れるか」
この間まで本当に犬を入れていたという檻だった。
下に汚れ物受けのついた檻は、でも人間には小さいと思われた。
「入るか? これに二匹も」
「膝をだかせて丸くすりゃ入るだろ」
本当にその通りの格好で、私とメグミは檻に入れられ、鍵がかけられた。
ふれあっているメグミの膝の間の茂みとその奥の部分がどうしても見えてしまい、
そして自分もメグミに見られているのだと思うと、少々不自然な格好でも
股から手を離すことが出来なかった。
でもその努力が続いたのは10分ほどだった。
私はあきらめて、メグミと同じように丸出しにしたまま膝を抱いた。
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