sinさんの作品
えり断章8
この小説はえりさんのえり断章7をからsinさんがリレー小説として書かれた作品です。
目当ての女の子を見つけたのはB棟を出たところだった。
小柄で地味な子だ。
「金田さん」と呼びかけると、にこやかに振り返った。
ふ〜ん、この子がねえ。
「何ですか?」 ちょっとオドオドしている? 誰にでも丁寧な言葉を使うのは育ちが良いか、
卑屈かどちらかだ。 この子は後者ね。
「わたし、文学部2年の姉ヶ崎 奈美枝。ちょっと話があるんだけど」
「なんでしょう?」
「ここじゃなんだから、旧サークル棟までつきあってくれない。」
「すいませんが、、あのう、わたし用事が、、、」
金田えりは、強引な初対面の相手に遠慮勝ちに断ろうとしている。
わたしは面倒なので、いきなりポーチから写真を取り出し、相手に突きつけた。
「これ、あなたでしょ。あなたしだいでこれを返してもいいのよ」
それは、今より何歳か若い金田えりが、全裸で引きつった笑いを浮かべ、
指でVサインを作り、下半身はM字に開脚しているポラロイド写真だった。
小さな口の周りは白濁した液で汚れ、額にはマジックで「虫2号」の落書き。
貧弱な胸には赤い痣や、傷跡。そして写真の脇におそらく金田えりの自筆で
「みなさんの肉奴隷です。心も身体もいじめ抜いてもらうのがえりの希望です」と書かれていた。
差出した写真を手に取った金田えりは、しばらく身動きもせず黙ったままだった。
「どう、つきあってくれる?ね、虫2号さん」